なのるなもない教員の備忘録

タイトル通りです。

【読書】協同学習への音読。堀裕嗣・山下幸 編、研究集団ことのは著『魔法の「音読ネタ」50』

多数の教育書を執筆されている、北海道の中学国語教師である堀裕嗣先生が代表を務める「研究集団ことのは」による音読の本。中学国語の先生方の目線や現場の経験から「音読」を扱っている。

 

表紙左上に「教室ファシリテーションへのステップ」とあるように、先に堀先生の『教室ファシリテーション10のアイテム・100のステップ』という本があり、「教室ファシリテーション」や「協同学習・協働学習」につなげていく活動の一つとして音読を位置づけている。

 

教室ファシリテーションを読んだ読者から、導入への不安が聞かれたとのこと。それに対して、堀先生は次のように気が付いたという。

こうした声に触れて、私は気が付きました。そういや、子どもたちをつなげるこの手の活動は、ダイナミックな教室ファシリテーションの手法に取り組む以前に、日常的に小さな活動をたくさんしているな……と。教室ファシリテーションで提案したダイナミックな手法は、そうした日常的な取り組みを前提としていたのだな……と。(p.3)

 

教室ファシリテーションのスモールステップとして「音読」を位置づけているため、個人としての音読は前提として、音読をグループやクラスに広げていくということに重きが置かれた本である。

 

自分に特に刺さったのは第1章Ⅱの堀先生による「音読指導の基本過程を身につける」の部分。

例えば、範読はCDに頼らず、教師自身の「人生最高の読み」をするという提案は、この本を初めて読んだ直後から実践してきた。

また、グループ音読では一文で交代しながら読み、相手の音読を聞き、読み間違いを教え合いながら進めていくという部分は自分も取り入れた。

 

先日読んだ小学校の先生である土居正博先生による音読の本だと、一人ひとりに読ませて、その都度音読をジャッジしていくのが手法の一つとして書かれていた。簡単に高評価を出さないことで、子どもたちが燃えるのだという。

 

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中学生だとどうだろうか。人前での評価を嫌がりそうな気もするし、けれど、ただ読んでOKでは、音読の力も身につかない。生徒たちの状況や教師との関係を見ながらやっていくしかないのか。

 

音読を個人で行う活動から発展させて、グループで協同しながら取り組む音読へ、さらには群読などへの足がかりを見つけたい方におすすめの一冊。