山中先生は教材研究には次の3つの段階があると述べています。
①素材研究…………作品そのものについて、深く読み取る段階
②指導事項研究……授業で指導すべき事項を精選する段階
③指導法研究………指導事項を効果的に指導するための発問や指示、作業などを考える段階
(p.22)
山中先生は素材研究が最も大事な「素材研究」にスポットを当てています。
良質な素材を見つけ、それを精査し、発問に「加工」することが良い発問をつくれると主張しています。
では、良い素材を見つけるためにはどうすれば良いのか。
それは一語一文を「逐一立ち止まって考える」ことだと述べています。
言葉に細かくチェックを入れていることで、様々な素材を集めることができます。
国語教師としての経験を重ねれば重ねるほど、素の作品を楽しむことは難しくなります。また、教材を素材として読むのもそもそも時間がかかります。
それでも地道な準備のもとに良い授業ができていくのでしょう。
発問への加工の仕方として新たな発見があったのは、「問いと答えを入れ替える」ことです。
そうすることで、難易度を下げつつ、気づかせたい表現を生徒に探させることができます。
「なぜ~」と問う発問と組み合わせることで、効果的に理解を深めることができるのでしょう。
山中先生の素材研究の中心は以下の2つと述べています。
1.登場人物の行為や行動の理由(なぜその行動をとるのか)を考えること。
2.登場人物が、その行為や行動を行う際の心情を想像すること。
その教材ならではの部分に重きをおいて授業をされているのだと思います。
国語の授業づくりで、その教材の良さを活かした授業をしたいと考えている人におすすめの一冊です。
国語教師として経験を積んでも(積めば積むほど?)、自分のやっていることに自信がなくなります。特に今は。
大事なことを改めて学び直すことができました。