なのるなもない教員の備忘録

タイトル通りです。

【読書】堀裕嗣『主体的に読む力をつける 国語授業10の原理・100の原則 文学初級編』

北海道の中学国語教師である堀裕嗣先生による国語の本。

今回は小説・物語の指導に焦点を絞っている。

 

 

授業で物語・小説を教える上でのミニマム・エッセンシャルズといえるような内容が取り上げられている。

例えば、物語の設定である「登場人物」「時」「場」を把握する、物語の「構成」を把握する、物語の「主題」の捉え方など。

 

堀先生は物語の授業の必要性について、次のように述べている。

物語の授業があるのは、子どもたちが将来、物語・小説を自力で読めるようになるためです。教師の力を借りることなく、自分の力で、深く読めるようになることが目指されるわけです。その意味で、「ごんぎつね」で教えられたことは、その後、「大造じいさんとガン」を読むときにも「海の命」を読むときにも活かせるものでなくてはなりません。これを他の物語を読むときにも活かされる「転移する学力」と言います。(p.24)

子どもたちとは教室にいる「子どもたち一人残らず」という意味になる。そのためには、設定の確認など基本的なことも教室全体で教えなければならない。

 

本書では、小説・物語指導のミニマム・エッセンシャルズを取り扱っているが堀先生は、その中でも一文一語、「言葉のディテール」にこだわろうと呼びかける。

 私は「ことばのディテール(細部)」にこだわればこだわれるほど、「国語学力」が高いと言えると考えています。(省略)全国の教師に、国語教室において、子どもたちにこうした技術を「知っている」だけでなく「使える」ところまで定着させて欲しいと願っています。それが子どもたちの理解力・表現力を高めていくのだと信じています。(p.163)

言葉のディテールにこだわるためには、教師の素材研究(一人の読者として作品を読み、向き合う段階)が大事になる。

果たして、自分は言葉に国語教師として言葉にこだわって生きているだろうかと自問自答してしまった。

例えば、本書の中で光村図書教科書の中1教材である『シンシュン』の主人公「シュンタ」の精神的成長について書かれている。自分もこの教材の授業をしたことがあるが、「シュンタ」の「依存から対等な関係へ」を読み取れておらず、自分にがっくりしてしまった。表面的にしか作品を読めておらず、その状態で授業を行っていたのである。

自分自身の読む力を高めることをしなければと反省した。

 

堀先生の本で更に国語について学びたい方には『国語科授業づくり10の原理・100の言語技術 義務教育で培う国語学力』をオススメします。