本を読み終えました。
「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(Solution Focused Approach)」「SFA」「解決志向アプローチ」とも呼ばれるカウンセリングの手法です。
学校現場において問題が発生した時、原因究明は大事ですが、そこに重きを置くとどうにもならない場合があります。
例えば、生徒の問題行動が続いた時に、仮にその原因をその生徒の特性や家庭環境だと設定した場合、学校や教師側は何も手を出せず、非常に後ろ向きで暗い心情になります。
この手法は原因追求は一旦脇に置き、どうやったら事態が好転していくかを相談者との対話を通じて、その糸口を探していくという前向きなものです。
原因論と距離をとるという点では「アドラー心理学」にも通じます。
「解決志向アプローチ」には中心哲学があります。
‹ルール1›もしうまくいっているのなら、変えようとするな。
‹ルール2›もし一度やって、うまくいったのなら、またそれをせよ。
‹ルール3›もしうまくいっていないのであれば、(何でもいいから)違うことをせよ。
(p.22)
シンプルですが、解決志向アプローチをしていく上で大切なルールです。
カウンセリングとは別に個人の行動指針としても使えます。
また、4つの‹発想の前提›があります。
‹発想の前提1›変化は絶えず起こっており、そして必然である
‹発想の前提2›小さな変化は、大きな変化を生み出す
‹発想の前提3›「解決」について知るほうが、問題と原因を把握することよりも有用である
‹発想の前提4›クライエントは、彼らの問題解決のためのリソース(資源・資質)を持っている。クライエントが(彼らの)解決のエキスパート(専門家)である
印象に残ったのは‹発想の前提4›です。
相談者を「問題に困っていて解決できないひ弱な存在」としてみなすのではなく、「既に解決の材料を持っている存在」として見るところが良いなと思いました。相談を受ける側は相談者が持っている解決の材料を探す(本書では「宝探し」と表現)役割を担うことになります。
分かりやすく、さくさくと読み進められますが、停滞しがちな相談を前に進める効果的な手法だと感じました。
オススメです。