なのるなもない教員の備忘録

タイトル通りです。

ビブリオバトル 2022 in AKITAを参観しました。

11月23日(水)「ビブリオバトル 2022 in AKITA」の参観に行きました。

ビブリオバトル」とは、お薦めの本の魅力をプレゼンし、聴衆にどれだけ読みたいと思わせたかを競い合う本の紹介コミュニケーションゲームのことです。大学での活動が始まりですが、今では中学高校でも、主に国語ではおなじみの活動です。

どの生徒のプレゼンもレベルが高かった。公式ルールとして「5分間を使い切らないといけない」とあり、5分にプレゼンをまとめるだけでも実に大変…… 学校から出て一般のお客さんや何も知らないギャラリーから観られているのも非日常で緊張するだろうな。

中学生と高校生の「語り」の違い

中学生は5分間をきっちり使い切る「スピーチ」色が強い。ゆっくりと話し、間をたっぷりと使って魅力を「演説」するという感じ。聴衆の興味を惹くために質問を投げかけたり。締めに伏線回収のようなオチをもってくる生徒もいた。

高校生になると、本の魅力を5分間おしゃべりする、語るスタイルが増えるという印象がある。そういう意味では高校生のプレゼンは硬さがとれている。プレゼンの準備はしているだろうにその準備を感じさせないおしゃべり・語りを実際に行うのは、相当難しいし、レベルが高い。同じ条件・環境でやっているのにそういう違いが生まれるところに、中学生から高校生への発達・成長というものを感じた。

個人的にはビブリオバトルの好きなところは、レジュメもパワポもなしで好きな本について5分間好きなだけしゃべれるという「ライブ感」重視なところ。今回はイベント型ビブリオバトルで、各地区予選を勝ち抜き、全国大会への予選を兼ねているということで、きちんとした「プレゼン」になっていないと評価がされづらい。それがイベント型の難しいところ。 ※ビブリオバトルは数人のグループで行う「コミュニティ型」やそれを複数同時に行う「ワークショップ型」もある。元々は大学の研究室の仲間内で本を紹介し合うコミュニティ型がスタート。

ワークショップ型ビブリオバトルを発表を3分で行う「ミニ・ビブリオバトル」を授業で行ったことがあるけれど、イベント型とワークショップ型ではバトラーの生徒(ビブリオバトルではプレゼンする人のことをこう呼ぶ)の心持ちも違うだろう。ワークショップ型は聴衆が少ないために、イベント型よりはプレゼンへの心理的ハードルは下がるだろうしね。ワークショップ型をイベント型へのスモールステップとして位置づけるのも一つの手段だと思う。自分が授業で行った時は実際にそういう位置づけだった。

ただ、イベント型をゴールに設定するよりも、仲間内で読んでいる本について知り、仲間についても知るというのもこの活動の魅力。結局は、自分の場合、学校の授業でビブリオバトルを行うのだから、何を目的に設定するのかということである。

本を通して人を知った瞬間~ある少年の質疑応答で~

ビブリオバトルのキャッチコピーに「人を通して本を知る、本を通して人を知る」というのがある。後者の「本を通して人を知る」を感じる場面があったので紹介したい。 中学生の部で恋愛小説をプレゼンした少年がいた。プレゼン自体はフィラーが混じっていたり拙かったんだけれど、終盤に入れたユーモアが朴訥とした喋り方と合っていて笑いを誘っていた。

自分がビブリオバトルの面白さを感じたのはプレゼン後の質疑応答でのこと。 聴衆からその本との出会いについて質問されて、彼はそれに答えたんだけれど、その中で彼自身の口から彼の恋愛事情や恋愛観が暴露された。その朴訥した喋り方もあって会場が笑いに包まれた時、聴衆が彼にグッと親しみを持てていたのを感じた。まさに「本を通じて人を知る」瞬間だった。質疑応答も含めてビブリオバトルの面白さだと思った。

彼のプレゼンした本はチャンプ本には選ばれなかったけれど、個人的には彼は今大会の影のMVP。

プレゼンされた本の内訳

中学生の部

高校生の部

プレゼンされた本の内訳は中学生の部7冊、高校生の部7冊、計14冊全て小説。本屋大賞受賞作品やノミネートされた作品がいくつか。「ミステリー」が多め。事件として殺人や人が死んでしまうことが置かれている作品も多かった。歴代のチャンプ本を見てもほとんどが小説が中心(唯一、2018年度中学生の部のチャンプ本が菅野仁の『友だち幻想』)

チャンプ本と準チャンプ本

チャンプ本に選ばれたバトラーの方々、全国大会でも頑張ってください。

【中学生の部】

チャンプ本

準チャンプ本

【高校生の部】

チャンプ本

準チャンプ本

参加された生徒の皆さん、開催の準備に携わった関係者の皆様、お疲れ様でした。 とても楽しめました。